西大畑・旭町とは…湊町新潟市の海岸沿い、近代に開発された砂丘地周辺。お屋敷、別荘、レトロな洋館、学校、さまざまな文化施設が点在する坂の町です。

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【終了しました】特別展示 山下誠一写真展「水の呼吸」

 

特別展示山下誠一写真展「水の呼吸」

開催期間:2019年2月1日(金)~2月17日(日)9時~21時 (※2/13(水)~2/17(日)は9時~18時)/会場 砂丘館

休館日:2/4(月)、2/12(火)

観覧無料

主催:砂丘館

 

Water Breath 水の呼吸

山下誠一

テーマを「水」と決めたのは、素材である「出雲民藝三椏(みつまた)紙」との出会いが不可欠でした。この和紙の発色を見たときにその質感描写に驚きました。これなら私が感じた日本の風景を出せると思いました。

2006年は私にとっては「デジタル元年」と言えるかも知れません。その前の年の暮れに、初めてキャノンのデジタル一眼レフカメラを買い、この年に独学でデジタル写真を始めました。この年の6月に写真仲間がアメリカのヨセミテ渓谷の写真旅行に誘ってくれました。この年、ヨセミテは降雪量が多く、圧倒的な雪解け水の風景と新緑の美しさを見せてくれました。帰国後、何種類かの和紙を使っていましたが、出雲民藝紙に出会うと、他の和紙を使うのは止めました。それほど魅力的な質感(マティエール)を出してくれるからです。

プリンターをキャノンからエプソンのPX-5500に変えたのもこの年です。それからEye-Oneという測色機も購入しました。しかしデジタルは独学では無理でした。偶然にも「アダムスの会」というのをネットで見つけました。小林宗正氏が率いるプロの勉強会で、錚々たる人が参加していました。プロのカメラマン達、印刷所の技術者、その印刷所に講義するプログラマー、デジタルカメラの開発をする色彩学者、レベルが違いすぎました。不思議なことに、小林氏が私の和紙の写真を褒めてくれ、「こんなデジタルのアプローチもあるんだ」と言いながら「お前は無知だ、デジタルのことを何も知らない」と鬼の形相で教えてくれました。本当に怖かった。翌年、PX-9500を購入し大型の和紙の作品を見せると、「凄い、凄い」と褒めてくれました。残念ながら、この会は2年で解散しました。

水は、気体(霧や蒸気)、液体(滝や川の流れ)、固体(雪や氷)など様々に変化します。すでに私はプロのカメラマンを辞めていました。撮影旅行をしながら好きなアプローチで撮っています。2006年のヨセミテ旅行はもう一つ重要なことを教えてくれました。ヨセミテの風景を見ながら何かが足りないと感じていました。それは「湿度」です。アメリカに居ながら、日本の風景のイメージが湧くように浮かびました。湿度を表現する、水をテーマにするとそれは必要不可欠だと思いました。大型の台風が来ると旅行し、大雪が降ったら出掛ける。それがわたしのアプローチの仕方です。

作家プロフィール

山下誠一(やました せいいち)

1951年生まれ。81年から業界紙の写真部に在籍し、99年フリーカメラマンとして独立。2005頃年からデジタル写真に興味を持ち、08年「水の呼吸」を「ギャラリーバウハウス」(東京・お茶の水)で、11年「Water Breath」を「エプソンイメージングギャラリーエプサイト」(東京・新宿)で開催。

 

特別展示関連イベント
◆ギャラリートーク
2019年2月11日(月・祝)14:00-15:30
山下誠一(写真家) 聞き手:大倉宏(砂丘館館長)参加料500円 申込み不要(直接会場へ)