藤原祥展
開催期間:2025年10月10日(金)~11月16日(日)
開館時間:9:00-21:00
定休日:月曜日(10/13,11/3は開館),10/14,11/4
会場:砂丘館
料金:無料
藤原祥の展覧会を砂丘館で開きたいと思って、何年がたつだろう。
思い出すのは2008年に喜多村知展を開催したとき、新潟絵屋で藤原の個展があって藤原は砂丘館にその喜多村の展示を見に来た。
いつもつぶやくように、ぼそぼそと話す藤原が、けれど喜多村の絵に心底感じ入って、興奮していることが話していて私にも伝わってきた。
喜多村の風景画は、風景が風景でなくなるぎりぎりのところまで絵を疾駆させて、そのさいはて、際から、宝石の輝きを筆先にすくいとってくる。
その輝度に藤原が圧倒され感きわまっているのを感じて、私もなぜだろう、胸があつくなった。
「絵のきびしさ」というものを、いま絵を描く人はあまり意識しなくなったかも知れない。絵がワンノブゼム=美術の多様な表現のひとつになってきたこととも関係しているだろう。
立体も手がけ、どこかのほほんとしたユーモラスな気配をたたえる藤原の創作物は、そんな今風の表現に近似しているようでもある。
けれど同時に、描くことが崖から落ちるか、際でとどまるかという厳しい場所に自らを追い込むことであった時代の感覚を藤原は生きてきたし、いまも生きている。
どこかふしぎで、面白い絵や立体がけれど呼吸し、一方で向かい合うはげしく、きびしいもの。
そのまれさと貴さを、この展覧会であらためて感じたい。
大倉宏
【ギャラリートーク】藤原祥+大倉宏(砂丘館館長)
日時:10/18[土]14:00-15:30
参加料:500円/定員30名
藤原祥(ふじわらしょう)
1950年島根県松江市生まれ。スペイン古典の内面の劇性表現に強く惹かれる。79年サン・フェルナンド国立美術学校(スペイン/マドリード)卒業。77年タラベラ・デ・ラ・レイナ賞名誉賞受賞。個展は島根県立博物館、ギャラリーHera(ストックホルム)、ギャラリー睦(千葉)、ニッチギャラリー(東京)等。新潟では新潟絵屋で2007年11月、08年9月、10年5月、12年3月、17年3月に開催。主なグループ展は78年「学生選抜展」(マドリード・レティーロ公園)、86年「三人展・エロスを描く」ギャラリーちいら(千葉)、 97年「植物の見る夢展」夢の島熱帯植物館(東京)、98年「三人展闇夜の飛翔・太陽への歩行」ギャラリー睦(千葉)、95年~2025年「21+∞展」O美術館、東京都美術館、目黒区美術館区民ホール。