石山与五栄門展 3会場で開催します。【終了しました】
石山与五栄門が撮影し、写真家斎藤文夫に託されていたネガフィルムの画像すべて(16,450点)は新潟大学地域映像アーカイブ研究センターによってデジタル化され、今年の春から「にいがた地域映像アーカイブ・データベース」で閲覧できるようになった(なお、ジャパンサーチでも一部見ることができる)。*
それを記念して、石山が撮影に何度も訪れた角田山妙光寺、石山が旧巻町職員として長年館長を務めた巻郷土資料館(現在は新潟市の施設)、2019年の「潟の記憶展」で石山の写真を紹介した砂丘館の3会場で、同時に石山与五栄門の写真展を開催する。
石山の業績としてはまず、彼が生涯を過ごした巻町周辺(新潟県西蒲原地方)の民俗、文化、歴史を研究紹介した「巻町双書」の刊行を挙げなければならない。公民館活動にも熱心だった彼は、個人としてだけでなく、その時々の研究活動や町の広報、観光、記録などの仕事でも撮影をおこなっていた。対象が自然、風景、人々の暮らしや様々な行事、仏像、書、書籍(の複写)など多岐にわたっているのはそのせいと思われる。
しかし、そのどれにも石山は「仕事」を越えた情熱を注いだ。西蒲原の生活文化への強い関心が根底にあり、同時にはげしく変わっていく時代の変化によって消えゆく運命にあるものを写真と言葉によって記録しておかなくてはならないという使命感があったのかもしれない。なかでも執拗と言っていいほどレンズを向け続けたのが1966年に干拓で姿を消した鎧潟だった。巻町双書で石山は『写真集 鎧潟』を刊行したが、生前没後を通じ写真集としてまとめられたのはその一冊のみだ。
しかし、改めて残された写真群を通覧すると、石山の写真には過去の「記録」であることを越え、私たちの感性に強く働きかけてくる「写真」としての魅力にあふれたものが多いことに気づく。一点指摘するならば、光に対する繊細な感受性である。西蒲原の自然や暮らしに降り注ぐ季節季節の光が、芦原や川や教室や浜辺や町の辻で彼のカメラに生きたままキャッチされている。さまざまなものが大きく変わってしまった新潟の「景」が、今も変わらない、私たちが呼吸している同じ光に照らされ、現在形の「光景」として見えてくるのはそのせいだ。
今回の展示は「西蒲原の自然といとなみ」(妙光寺)、「『地域で生きる』ひとびと」(巻郷土資料館)、「鎧潟と水辺のひとびと」(砂丘館)の3つにテーマ構成で、新たに制作したプリント約240点を(一部映像展示)紹介する。写真家としての石山与五栄門の再評価が、本展をきっかけに始まることを期待したい。
なお、今回の石山与五栄門展は、各機関、組織の垣根を越えて、展示会場である巻郷土資料館、妙光寺、砂丘館、デジタルデータを提供する新潟大学地域映像アーカイブ研究センターの4つが連携し、有志により結成された石山与五栄門展実行委員会と協力しあって実施するものです。
大倉宏(砂丘館館長)
*新潟大学地域映像アーカイブ研究センターでは、新潟の日常生活にある映像を発掘しデジタル化し、新たな社会の文化遺産として映像を甦らせるために活動をおこなってきました。現在、「にいがた地域映像アーカイブ・データベース」では約19万点の映像を閲覧できます(閲覧には申請が必要です)。なお、国立国会図書館が運営する国のデジタルデータベースの集積サイトである「ジャパンサーチ」では、一般公開できる一部の映像を公開しています。
会場
1
角田山妙光寺・客殿 【西蒲原の自然といとなみ】
新潟市西蒲区角田浜1056 TEL.0256-77-2025 10:00-16:00
主催:石山与五栄門展実行委員会 共催:角田山妙光寺 協力:砂丘館 協賛:アクアデザインアマノ
2
巻郷土資料館 【『地域で生きる』ひとびと】
新潟市西蒲区巻甲3069-1 TEL.0256-72-6757 9:00-16:30
主催:西蒲区文化施設を運営する市民の会/巻郷土資料館 共催・企画協力:石山与五栄門展実行委員会 協力:砂丘館 協賛:アクアデザインアマノ
3
砂丘館(旧日本銀行新潟支店長役宅) 【鎧潟と水辺のひとびと】
新潟市中央区西大畑町5218-1 TEL.025-222-2676 9:00-21:00
主催:砂丘館 共催・企画協力:石山与五栄門展実行委員会 協賛:アクアデザインアマノほか
【会期中の催し】
ギャラリートーク1 会場:砂丘館
10月10日(月・祝)14:00-15:30
「石山与五栄門の写真の魅力」
榎本千賀子(写真家・新潟大学助教)・原田健一(新潟大学フェロー)・大倉宏
聞き手 中村元(新潟大学准教授)
本展の企画者3人がそれぞれの目で見た石山与五栄門の写真の魅力を語ります。
参加費500円 定員25人
ギャラリートーク2 会場:妙光寺
10月30日(日)14:00-15:30
「石山与五栄門の時代の西蒲原」
斎藤文夫(写真家)・小川英爾(妙光寺院首)ほか
石山与五栄門が写真を撮影した昭和30~40年代の新潟・西蒲原の世界を語り合います。
参加無料 定員30名
*ギャラリートークの申し込みはどちらも砂丘館(電話・ファックス 025-222-2676 Eメール yoyaku@bz04.plala.or.jp)へ
申し込み受付開始 9月21日