西大畑・旭町とは…湊町新潟市の海岸沿い、近代に開発された砂丘地周辺。お屋敷、別荘、レトロな洋館、学校、さまざまな文化施設が点在する坂の町です。

西大畑、旭町について

え・いえ展

開催:2025年5月30日(金)~7月6日(日)

新潟市S邸 絵:井上麻子(右2点)、月館京子(左)

 

絵と家

砂丘館は2005年7月に新潟市が所有する歴史的建造物「旧日本銀行新潟支店長役宅」を活用した芸術文化施設としてオープンしました。

管理運営を公募で選ばれた「新潟絵屋・新潟ビルサービス特定共同企業体」が担ってきました。同企業体の構成員である認定NPO法人新潟絵屋が自主事業を担当、企画、実施しています。

新潟絵屋は2000年6月に「見る人」が集まり設立された新潟市中央区にある町屋の画廊です。一人の「企画者」が発意し、メンバー全員がサポートする企画展を中心に活動を続けてきました。町屋は町家と書かれることもあるように、家(住まい)と店舗や作業場などの「職場」が一体となった町中の建物を言います。大正時代には米問屋の店舗だった部分を、そこにつながっていた「家」を想起させるよう、改修で、柱、漆喰壁、土壁、障子、欄間などに囲われた展示室としたのは、近代以前に登場した絵と、近代以前につながる家との「新しいつながり」を考えたからでした。

かつての家には、床のかけ軸や香炉や花瓶、襖、屏風、欄間などの姿で絵、書、陶器、彫り物などがありました。時代が近代になり、欧米文化の影響で、それらが展覧会や美術館で鑑賞される「美術」に変容すると、そんな環境は家から失われていきました。「展覧会」に奪われた絵(あるいは書や陶器や彫り物)を、「家のような展示室」で開かれる展覧会で、もう一度、家につなげたいと思ったのです。「販売すること」を活動の要と考えてきたのはそのためです。

砂丘館は昭和初期の「家」として建てられました。

この家全体を会場として開く展覧会は、そのような新潟絵屋の活動の延長でもありました。とはいえ「家の姿の展示空間」ではあっても、人が寝起きし、プライベートな時間をも過ごす家そのものではありません。今回の展示では、画廊を通じて、実際に(ほんとうの)家に出会った絵たちが、その家のなかでどのように生き、過ごしているかを、所蔵者たちの協力を得て、写真家村井勇*が撮影しました。それらを紹介するとともに、砂丘館をほんとうの家に見立て(近づけ)た会場で、「え・いえ」=絵とつながった家/家とつながった絵を体感していただき、日常生活のなかに生きる絵を、ともに再認識する機会としたいと思います。

大倉宏(認定NPO法人新潟絵屋代表・砂丘館館長)

新潟市O邸 絵:信田俊郎

新潟市I邸 絵:井田英夫(梯子の上)、佐佐木實(右2点)

村井 勇(むらい いさむ)
1961年東京都生まれ。88年より製作開始された記録映画『阿賀に生きる』で現場スタッフを務める。担当はスチール撮影。93年、記録映画『地域をつむぐ―佐久総合病院付属小海町診療所から』に撮影助手として参加。映画撮影終了後、単独で南佐久のお年寄りの姿を撮り続け、97年に新潟市万代リターナにて初個展「ぼちぼちいこか」開催。その後、98年長野、99年神戸、京都で巡回展を開催。新潟絵屋では2000・04・10・12・15・19年個展開催。新潟市在住。

新潟市A邸 絵:斎藤應志(すべて)

新潟市N邸 絵:津田真帆(正面)

ワークショップ <絵と家 見る・かう・かける、保管する>

絵との出会い方、付き合い方を、実際に絵にふれ、壁にかけて学びます。

6/8(日)10:00-12:00

参加料 500円 定員10名

 

え・いえトーク

6/22(日)14:00-15:30

「え・いえ」展協力者による絵と家の話

参加料500円 定員30名

※「家のなかの絵」についての考察「『センター』としての『絵』」を下記からお読みいただけます。

「センター」としての「絵」

新潟市T邸 書:横山蒼鳳(右)