精神(こころ)の森を旅する 上原木呂 / 巖谷國士【終了しました】
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上原木呂展
2023年10月28日(土)~12月17日(日)
9:00~21:00(12月は~19:00)
休館日 月曜日、11月7日、24日
観覧無料
会場 砂丘館
上原木呂と「薬研付喪神圖」
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対談 巖谷國士・上原木呂「精神(こころ)の森を旅する」
2023年11月25日(土)
14:00~15:30
会場 砂丘館
参加料1,000円 定員40名 *要申込
巖谷國士
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巖谷國士 講演会「人間にとって庭園とは何か」
(妙光寺第11回浄土講座)
2023年11月26日(日)
14:00~15:30
会場 角田山妙光寺
参加料1,000円 定員80名 *要申込
妙光寺庭園 庭には、自由への、秘密の入り口がある
1と2
主催 砂丘館
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主催 砂丘館・角田山妙光寺
協力 新潟フランス協会
シュルレアリスム(英語ではシュールリアリズム)は20世紀前半にヨーロッパで起こった芸術運動です。その影響は、国境を越え、各国各地の芸術表現に大きな影響を与えました。
フランス語の「シュル sur」は「~の上に、向うに」を意味する接頭辞であるため日本語では「超現実主義」と訳されました。この訳語では何かの難しい思想のように思えるシュルレアリスムですが、本来は常識的価値判断や社会の慣習などにとらわれた物の見方や束縛を解いて心を開放し、精神の本来あるべき自由な自然状態へ帰ろうとする志向を言葉にしたものと解するべきでしょう。
新潟市西蒲原の酒造業の家に生まれた上原木呂(本名誠一郎)は、東京芸術大学美術学部在学中に、日本のシュルレアリストであった瀧口修造(1903-79)と出会い、親交を得ました。大学を中退してイタリアに渡り、イタリア古典道化演技を学び、俳優、演出家として活動します。1988年に帰国して以後は、家業の酒造業で新たな事業を展開しましたが、その根源にも「自由」を求める独自の発想がありました。2000年代に表現活動を再開し、コラージュ作品「幻獣圖絵」「眼球國譚」などの制作を皮切りに、絵画制作やパフォーマンス、自由を貫いた現代美術家の展覧会の企画など、多方面な活動を始めます。幼い日に惹かれた日本の妖怪、引き札などに描かれた土着・大衆的イメージなどをも作品に取り込み、2010年代になるとさらに多彩で、巨大で、膨大な絵画制作を開始します。そこにもまた、社会の規制に幽閉された人間を、より広大な精神の森に解放しようとしたシュルレアリスムの影響が認められます。
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NSG美術館での「上原木呂 付喪神と妖怪展」と同時開催となる「上原木呂展」では、2003年の「眼球國譚」全23点と妖怪画新作ほかの絵画を紹介します。会期中には、瀧口修造を受けつぐ日本のシュルレアリストとして、その精神を豊かな言葉と活動で伝えつづける評論家・写真家・旅行家・講演家・フランス文学者の巖谷國士を迎え、上原との対談を開催します。
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多彩なジャンルに旺盛な関心を向けてきた巖谷國士には、ヨーロッパをはじめ世界の庭園を紹介した著作群があります。庭園は都市や住宅などに自然を接続させるとともに、自然とともにあった原初的な精神世界と日常生活を循環交流させる装置であり、私たちの祖先がいた「森」の記憶でもあるということを、身をもって伝える著作の数々です。
新潟市西蒲区にある角田山妙光寺は、宗派を問わない永代供養墓を全国に先駆けて作った寺としても知られますが、近年は徐々に境内の整備を進め、杉林の中の広場を造成するなど、山麓の自然と人間の魂が交流する屋外空間として、独自の「庭園」を創造しつつあります。寺の近くには龍伝説のある神秘的な洞窟「岩屋」もあり、角田山の周辺はかつて修験道が盛んでした。太古に自然界から出た人間がふたたび自然界と出会うべく選ばれた場所でもあります。
そこで、庭園と「森」の探索者でもある巖谷國士には、上原木呂との対談の翌日に、この古刹・妙光寺を会場にして、「人間にとって庭園とは何か」と題する講演をお願いしました。
人間精神の解放を説いたシュルレアリスムの視点から見る庭園、人間に不可欠の営みである庭園の歴史と本質を、現代の日本人の魂の在処を問う仏教寺院の一角で、わかりやすく、存分に語っていただきます。
2、3申込先
砂丘館 電話・ファックス025-222-2676 Eメール yoyaku@bz04.plala.or.jp
申し込み受付開始 10月18日(水)9:00~(Eメールでの申し込みも9:00以降にお願いします。)
*ファックス・Eメールでお申し込みの方は連絡先(電話番号)、人数を併記してください。
*いただいた個人情報はこの催しに関するご連絡以外に使用しません。
上原木呂(うえはら きろ)
1948年新潟県生まれ。東京芸術大学出身。若くして瀧口修造と出会い、シュルレアリスムの洗礼を受ける。その後イタリアに在住中、コンメーディア・デラルテ(イタリア古典仮面喜劇)を学ぶ。帰国後、新潟を中心にコラージュ作品を発表。2010年「上原木呂とマックス・エルンスト―シュルレアリスム東と西」(ドイツ・レーゲンスブルグ市立美術館)を開催。近年の展示に「上原木呂の妖怪学校」(2019年 中野小学校旧校舎・信州中野銅石版画ミュージアム)、「BOROと水墨抽象とヤブレカブレ」(2020年 ギャラリーみつけ)など。
巖谷國士(いわや くにお)
フランス文学者・批評家・写真家・旅行家・明治学院大学名誉教授。1943年東京都生まれ。祖父はメルヘン作家・俳人・俳画家の巖谷小波。1960年代からシュルレアリスムの研究と実践で知られ、第一人者とされる。文芸・美術・映画・漫画などの批評、紀行・庭園論・都市論、講演、写真、美術展監修など活動は多岐にわたり、それぞれの分野で専門性の有無を問わず幅広く支持を集める。近年ではTwitter上での読者・フォロワーも多い。(Twitter ID : @papi188920)著書に『シュルレアリスムとは何か』『封印された星:瀧口修造と日本のアーティストたち』『森と芸術』『幻想植物園』『旅と芸術 発見・驚異・夢想』『ヨーロッパ100の庭園』『フランス 庭園の旅』『イタリア 庭園の旅』『マン・レイと女性たち』『澁澤龍彦論コレクション』全10巻など、訳書にブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』『ナジャ』、エルンスト『百頭女』、ドーマル『類推の山』など。
同時開催
上原木呂 付喪神と妖怪画展
2023年10月28日(土)~12月17日(日)
10:30~18:00(但し入館は17:30まで)
休館日 月曜日
観覧料 一般300円 学生200円 高校生以下無料
新潟市中央区西船見町5932-561
Tel.025-378-3773