【終了】安吾をめぐる人々Ⅳ 「父・仁一郎」
安吾をめぐる人々Ⅳ 「父・仁一郎」
坂口安吾は明治 39(1906) 年、13 人兄弟の 12 番目、五男として生まれました。
当時父仁一郎は大隈重信率いる憲政本党所属する衆議院議員であり、また新潟新聞の社主、新潟米穀取引所(後の新潟証券取引所)の理事として新潟、東京を忙しく往復していました。さらに『北越詩話』編纂のため、暇をみては資料収集と校正を繰り返す毎日でした。
そんな父を安吾は、「二三流ぐらいの田舎政治家」「書斎にこもったきり顔をだすことがなく、私が父を見るのは墨をすらされる時だけ」といい、父の「事務的な大人らしさが嫌い」であったと『石の思ひ』(1946 年)の中に書いています。
父の生前中はあまり交流のなかった安吾ですが、仁一郎が 30 年の年月をかけてまとめた『北越詩話』や、兄献吉が編んだ伝記『五峰余影』を通して父を知り、理解していったようです。
このたびの展観会では、安吾の父であり、政治家、新聞人としての坂口仁一郎の足跡と、そこから安吾につながる系譜を展示します。