西大畑・旭町とは…湊町新潟市の海岸沿い、近代に開発された砂丘地周辺。お屋敷、別荘、レトロな洋館、学校、さまざまな文化施設が点在する坂の町です。

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■大川景子 フッテージを見る 佐々木卓也さんの指先から生まれるカタチ

2020/2/13-3/1(3/12まで延長)

月曜休館

 

映像作品を完成させるには編集の作業が必要で、わたしは映画作りの工程の編集というパートを主な生業としています。編集は簡単に言うと、フッテージ(撮影されたままの素材のこと)を頭から尻まで繋いで作品のかたちを作ることですが、そうは言ってもなかなか時間のかかるもので、撮影された沢山の素材からどのショットを使ったらいいかを選んで、どこからどこまで使うか長さを吟味し、また次はどのショットを繋げるかを考え…と、何度も繋いだり並べ替えたりを試行錯誤の地道な作業です。これは撮影時にそこにあったはずの時間や出来事をぎゅぎゅっと凝縮し、圧縮させるような作業なのだと思います。

わたしは編集作業を始める前の、撮影されたままのフッテージの連なりを、何度も何度も見る時間を、とても大切にしています。まだなんの役も担ってないありのままのフッテージから、そこにあった気持ち、ちいさな表情の変化、些細だけど何か引っかかるものを、宝探しのように見つける時間です。この作業はひとりでメモを取りながら、黙々とするのですが、もし目の前のスクリーンにながれる、誰かのある日の動作や、表情、他愛もない会話の様子をじーっと見つめ、じーっと聞く、ただひたすら感じるままに見る。そんなふうにスクリーンと向き合うような場があったらいいなと思いました。

今回の展示では、佐々木卓也さんを撮影したフッテージを流します。彼は絵を描き、粘土で立体作品も作るアーティストです。動物や人、心に留まったものをどんどん、かたちにしていきます。卓也さんの指先から作品が生まれるようすを私は何度か撮影してきました。久しぶりに卓也さんに会うと、彼の近況やエピソードはお母さんが全部おしゃべりで教えてくれます。フッテージのすべては、卓也さんと母睦子さんのある日の日常です。そこには撮影者である私からのメッセージはありません。大きな出来事やハプニングも起きません。ですが、ここには私の愛すべきものが、誰かに見て欲しいものが詰まっています。今のところ、これらを作品にまとめる計画はありませんが、砂丘館の空間でこのフッテージを見つめて、何かが呼応したらいいなと思っています。

大川景子