西大畑・旭町とは…湊町新潟市の海岸沿い、近代に開発された砂丘地周辺。お屋敷、別荘、レトロな洋館、学校、さまざまな文化施設が点在する坂の町です。

西大畑、旭町について

【終了しました】風騒ぐ家の人々 詩人会田綱雄・三好豊一郎と画家齋藤隆展

風騒ぐ家の人々 詩人会田綱雄・三好豊一郎と画家齋藤隆展チラシ開催期間:2018年10月30日(火)~12月9日(日) 9時~21時 会場/砂丘館
定休日:月曜日、11/6(火)、11/27(火)
料金:観覧無料
主催:砂丘館

1970~80年代、戦争の時代に青春を生きた二人の年長詩人と、一人の若い画家が出会った。

画家のアトリエ「風騒居」に残された魂の交流のドキュメント。

作家プロフィール

会田綱雄(あいだ つなお)

1914年東京都生まれ。日本大学社会学科を卒業後、40年志願して中国に渡り南京特務機関嘱託となる。南京で詩人の草野心平を知る。47年『歴程』同人となる。57年詩集『鹹湖』で第一回高村光太郎賞を、77年詩集『遺言』で第29回読売文学賞を受賞。ほか詩集に『狂言』(1964)『汝』(1970)『会田綱雄詩集』(1972)『会田綱雄詩集』(1975)『星座』(1977)『遺言』(1977)がある。1990年没。

三好豊一郎(みよし とよいちろう)

1920年東京都生まれ。早稲田大学専門部卒。鮎川信夫らと交遊し、戦時下に詩誌「故園」を発行。47年『荒地』創刊に参加。49年詩集『囚人』を刊行。75年『三好豊一郎詩集』で無限賞、84年『夏の淵』で高見順賞受賞。ほか詩集に『小さな証し』(1963)『三好豊一郎詩集』(1970)『草紙老練な医師』(1974)『Spellbound 三好豊一郎詩集』(1975)『林中感懐』(1978)『寒蝉集』(1989)がある。詩作のかたわら写生画をよく描き、1992年の晩秋に古心堂画廊(東京)で絵画展を開き、直後に没した。

齋藤隆(さいとう たかし)

1943年東京都生れ。独学で絵を描き始め、63年より読売アンデパンダン展に出品。 以後個展を主に発表を続け、ほか山種美術館賞展、从展、明日への具象展、横の会展等にも出品し、モノクロームによる異形の人間像を精力的に発表。また「日本画と現代-今を生き、そして描く」展(福島県立美術館1988)、「日本画・現代の視角-その模索と実験」展(新潟市美術館 1990)、「異形のFigure-東北の3人展」(宮城県美術館 1993)、「日本画-純粋と越境」展(練馬区立美術館 1998)等に出品。2004年リアス・アーク美術館(宮城)、09年喜多方市美術館、13年福島県立美術で齋藤隆展が開催された。14年第7回円空大賞展で円空賞受賞。

世代は微妙に、大きく違いつつも、長い年月を通じて気脈を通じ合った3人を結びつけたものはなんだったのだろう。

それは、「死」、ではなかっただろうか。

それぞれの詩にも絵にも、本格的には、まだ接しはじめたばかりの私が、そう書く不遜を重々承知しつつも、直感的に、そう感じるのだ。1940年代に「空虚な死以外の何ものでもない」戦争から三好を解放したのは肺結核という「死に至る病」だった(戦後、彼はそこから生還し、詩人となった)。会田は同じ戦時中を中国で特務機関員として過ごした。同じ境遇に身を投じた洲之内徹は、私が強い影響を受けたもの書きだが、彼が戦後発表した小説群に刻まれた死の影を、私は重く受けとめたことがあった。南京の虐殺にふれた会田のエッセイ「一つの体験として」は、容易には言葉にできない「戦争の体験」がこの人にあったことを告げている。展覧会の準備中に齋藤が貸してくれたカセットテープで、会田の肉声の朗読を聞き、なみなみならぬ「重さ」を詩人が抱えていたことを衝撃とともに痛感できた。会田の詩における一種の飄逸さは、この強烈な重さと表裏のものとして読まれるべきものなのだろう。

会田より6歳若い三好より、さらに23年下の齋藤にとっての死とは、何であったのかが、現時点でよく分からない。しかし齋藤の作品を今回間近に見、近作の縛られた手という意表をつくイメージの連作に顔を近づけ、下絵に書き込まれた言葉の数々を読むうちに、「生命と死」という、抽象的といえば抽象的な問題であり、命題であるものが、この画家にとってはつねに眼前に、具体的にたちはだかり、挑み続けてくる相手であったことを、驚きとともに実感できた。

死は、人の周囲にいつも起こる。けれどそれらは常に他人の死であり、自らの死を、人は、決して目撃も体験もできない。だからそれは死ぬまで忘れられるものであると同時に、死ぬまで忘れられないものでもある。そのような矛盾の風の、嵐の、吹きすさぶ坩堝から、在処から、言葉や線を、イメージを、声を紡ぎ続けた人々がここにいる。

大倉宏(砂丘館館長)

【関連イベント】

<オープニングライブ>

松田惺山(せいざん)(尺八奏者・鬼太鼓座(おんでこざ)座長)

10月30日(火) 18:30~19:30

参加料:1,000円(予約申込み不要・直接会場へ)

<ギャラリートークと詩の朗読>

齋藤隆(画家)・寺原信夫(詩人)・池井昌樹(詩人)

11月23日(金・祝) 15:00~17:00

参加料:1,000円(予約申込み不要・直接会場へ)

<人形浄瑠璃 猿八座公演「源氏烏帽子折」(げんじえぼしおり)

11月25日(日) ①13:30~15:00 ②16:00~17:30

*各回とも公演内容は同じ

会場:砂丘館1階和室 定員:各回30名

参加料:一般2,000円、中高生1,000円、小学生以下無料(保護者同伴にて幼児入場可)

ご予約受付は10/24(水)から。